つなぐ・谷川岳南稜

日 程 2025年07月27日(日)-2025年07月27日(日)
ルート 谷川岳一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜
メンバー 先生、池(報告)

■形態:アルパインクライミング

■行動記録
天候:晴れ時々曇り
7/27(日)3:00行動開始–8:30登攀開始–11:30南稜終了点–18:50一ノ倉岳–0:00谷川岳IC駐車場(下山)

■共同装備
ダブルロープ50m
アルパインヌンチャク12本
ハーケン4本

■山行記録
2024年11月に敗退し、雪渓アプローチができるようになったら金さんと二人で行くはずだった、宿題のリベンジ山行。

今回つなぐことができて改めて、あの時、濡れた最終ピッチにトライしたあなたの勇気を思った。

今年の一ノ倉沢には定点観測のように足繁く通い、様子を見つめてきた。テールリッジの右側、衝立前沢上部に雪のブロックがある時は登攀NG。それが消えたのは5月下旬。しかし天気とスケジュールが伴わず、今回のタイミングに至る。

出合から赤リボンのついた夏道を進み、一ノ倉沢に降り立つと一ノ沢出合は完全に雪渓消失していた。

一ノ倉沢は一ノ沢出合付近より上はまだしっかり雪渓が残っていた。今季、一ノ沢を繰り返し歩いたことも無駄ではなかったな、と複雑な思いを噛み締めながらチェーンスパイクで上がっていく。暖かい風と雪渓の冷気が混ざる居心地の悪い感覚は、一ノ倉沢も同じだった。

一ノ倉沢の雪渓を詰めていくと、テールリッジ中間部が姿を現し、雪渓がうまく残ってテールリッジへの乗り移りはポン、とまたぐだけの様相で、とても容易だった。時には雪渓から懸垂して降りるようなこともあるというから、今回はスムーズに登らせてもらえそうだと確信する。


▲テールリッジに乗り移って振り返る

衝立岩を仰げば、天気も風も穏やか。機嫌の良さそうな一ノ倉だ。いける、今日は。


▲雪渓の恩恵

テールリッジは乾いてフリクションが抜群。ニヤニヤしながら、けれど陽が出てきた暑さに汗を垂らしながら登っていく。

途中、前回敗退時に残してきた自分のスリングと再会する。


▲長さが足りなくて猛省したことを思い出す。誰かがカラビナを追加していた

中央稜取付から南稜テラスへのトラバースも、乾いて全く心配がない。

1P 30m Ⅳ 凹角からカンテ状〜チムニー
池リード。前回はフォローでも全くできなかった被り気味チムニー、今回は意外とあっさりクリア。積んできた経験は裏切らないと実感。

2P 25m Ⅳ 〜20m Ⅱ草付途中
先生リード。前回はフォローでもやたら怖かった所だけど、岩が乾いているから何も怖くない。

3P 20m Ⅱ 草付途中〜20m Ⅲ 6ルンゼ側テラス
池リード。意外と垂壁、でも意外とホールドスタンス豊富。

4P 40m Ⅲ 馬の背リッジ下半
先生リード。6ルンゼ側からリッジに露出するまで。涼しいけれど湿っぽくて前回の緊張感を思い出す。

5P 30m Ⅳ 馬の背リッジ上半
池リード。前回は濡れて滑りまくって戦意喪失した所。今回は乾いていたのと、慣れてきたので自然に抜けられた。経験は(略

6P 20m Ⅴ 垂直のフェース
池リード。順番的には先生リードだったけど、譲っていただいた。Ⅴ級情報にびびりながら取り付いてみると意外にホールドスタンスはあるし、ハーケンベタ打ちされているし、過度に怖れることはなかった。経験(略

南稜終了点〜烏帽子尾根まで
先生が昔使った烏帽子岩沿いの踏み跡は自然に帰っていたため、左側の岩が露出した広いルンゼ状を詰めていく。念のためダブルロープのスタカット継続。踏み跡がある所もあれば、見失ったり、誰かのビバーク地と思われる所に出たりした。猛烈な笹の藪漕ぎ。湿気と暑さで、ここで体力を激しく消耗した。


▲南稜終了点から少し上に上がった所。滝沢リッジ側の景色が高度感と相まって素晴らしい


▲烏帽子尾根を目指す格闘の始まり

五ルンゼの頭まで
烏帽子尾根の稜線に出ると微風も通り、環境は改善されたもののガス欠に陥り、途中補給タイム。15時。
ロープは要らない感じもあったけれど、左右が切れ落ちたリッジなので念のためスタカットで進む。これも大幅に時間を費やすことになった。
五ルンゼの頭の岩場は一部Ⅲ+くらいか。中央部に最弱ラインを見出し、登ってみると残置ハーケンも2ヶ所ほどあった。それを過ぎると踏み跡があり、Ⅱ級程度で五ルンゼの頭に到達。


▲後で反省した点。ダブルである必要はなかった

一ノ倉岳まで
明確な踏み跡のリッジが続く。ガスも出てきて心細くなるが、傾斜もゆるみ両脇にそびえる門のような岩場の上で、念のためのロープパートは終了、ロープをたたみアプローチシューズに履き替えた。

残すは国境稜線までの笹藪漕ぎ。先生が先頭に、うっすら残る笹藪の窪みを辿って、なんとか日没までに稜線に飛び出すことができた。


▲ヨカッタ〜!金さーん!!

国境稜線〜谷川岳〜下山
一般登山道なら高速道路!と謎の楽観は、一ノ倉岳に出るまでに渾身の力を振り絞ってしまったために悲観に変わる。
西黒尾根の方が所要時間は短いようだけど、これ以上気を遣うのは懲り懲り、と天神尾根と西黒沢沿いのザレザレの車道(急傾斜)で下降。
石グルマに何度も乗り肝を冷やしながらも、無事に下山した。


▲ヨカッ…タ…

おつかれさまでした!