北岳バットレス第4尾根主稜

日 程 2024年09月14日(土)-2024年09月16日(月)
ルート 南アルプス・北岳バットレス第4尾根主稜
メンバー 池、他1
■形態:アルパインクライミング
■行動記録
9/14(土) 05:15芦安駐車場==(バス)==06:15広河原06:30–09:00白根御池小屋10:00–バットレス沢、Bガリー大滝手前偵察–14:00白根御池小屋
9/15(日) 白根御池小屋06:30–7:30Bガリー–8:30Bガリー大滝取付–12:00第4尾根主稜取付–17:00トップアウト–17:30北岳山頂–20:30白根御池小屋9/16(月) 白根御池小屋07:30–09:45広河原10:00==(バス)==11:00芦安駐車場(下山)
■山行記録
新人の池です。
前所属会の卒業山行に特別に行かせていただきましたので報告します。
始発バスで広河原入り。テン泊と登攀具で重いのに、広河原から崩せない雰囲気の隊列が異様に速く、トレーニング不足も手伝って序盤は完全にオーバーペース。汗が止まらず、立ち休みを繰り返した割にはコースタイムで白根御池小屋に着いた。
翌日の天気が良くない予報なので入山日登攀のつもりだったけれど、白根御池小屋まででだいぶ消耗してしまい、設営後は一応本番のつもりで取付に向かうが、意外にしんどい登りでさらに消耗。
11:30にBガリー到着。
時間的にも微妙だったが、何より昨夜は車中泊仮眠で二人ともあまり眠れず、このまま突き進んでも…となり、Bガリー大滝取付を遠方から目視してテント場へ戻る。

▲取付まで行く元気が無い。良さそうだけど戻って正解。
翌日2時、フライを叩く雨の音で目が覚めた。気持ちが沈むのを感じる。ネットが繋がるので、天気予報や天気図を見ながら話し合い、ヘッデン出発は見送った。
陽が出ると雨が上がっていたので岩の状態次第で撤退も考慮し、下部岩壁までは行くことにする。ただ私は完全に気持ちが後ろを向いていた。またあのダルいアプローチを行かなければならない、雨も降った、荷物もなんだか重い。行っても私なんか登れないんじゃないか。とりあえず下部岩壁まで、と目標を小さく区切って向かう。
取付に着くと、2パーティが登り終えようとしていた。

▲やっと取付をロックオン。不安だらけ。
Bガリー大滝 1P クラック、階段状
F先生は、私がシューズを履き替えるのも待てず「1ピッチは簡単だから先行ってる」とフリーソロで行ってしまう。まあ、登ってみたら簡単には簡単だったけど、F先生はシーズン初の岩場ですよね?
2P クラック、フェース
見たところ行けそうなのでリード。薄くハングしたりスラブ気味のところを避けて登っていくと、ハーケンがあり、ルートが正しいことを確信する。ここをリードしたことで楽しくなり、登攀続行を決めた。
横断バンドまで階段状を上がる。小雨がパラつき湿り気味、フラットソールが怖くなる。
横断バンドから踏み跡をすぐに直上してしまい完全にルートミスのため懸垂でやり直し。
横断バンドを進むとCガリーの淵に着く。ガスと相まって異界の雰囲気に息を飲む。霧雨のためヒドゥンスラブは避け、Cガリーを横切り横断バンドを詰めて下部リッジに取り付く。
4尾根下部リッジ
Ⅲだからとリードを始めるが、クラックとハングが現れ行き詰まる。ピッチを切ってF先生と交代。右から巻いて進んでいくが、結局ハングした所はフォローも乗り越えないと進めず、落ちるかもしれない恐怖に襲われながら体を持ち上げる。個人的体感はⅤにしか感じられなかった。
4尾根取付までは階段状からハイマツの間を抜けていく。
4尾根取付 つるりとしたクラック
避けて右側から登った。つるりじゃなくて、つるつるクラックだったから。
白いスラブ
簡単そうな所を狙っていくとサクサク高度が稼げるため声が届きにくい。あと25m、があと5mに聞こえ、慌てて途中でピッチを切る。
しかしここはあまりに簡単だったらしく、ロープ引き上げ中、グリップビレイする間もなくF先生が登ってきた。えー。
三角形のスラブ垂壁
ここで渋滞もありやっと一息。ここまで余裕がなくほとんど写真を撮ってない。しかし最初の一歩がわからず、後続パーティからアドバイスを受けてようやく立ち込む。こういう所がまだまだ未熟。
マッチ箱のコル
なんでこんなに尖った所なのにスラブなんだ…。スラブ苦手とか言ってる場合ではなく、とにかく押さえつけて歩いていくしかない。写真スポットらしく、F先生が上からなんとか撮ってくれた。

▲ガスのせいで高度感なし。
枯れ木テラス
渋滞していた。皆さん枯れ木にセルフを取っていたけど、枯れ木はゆるふわでとてもその気になれず、譲られたボルトにセルフを取る。これが中央稜への懸垂ポイントかな。うっかり視界に入ったCガリーの奈落に体が凍りついた。
リッジのトラバース
トポではサラッと書いてあるけどルート中、怖さは一番なのでは…。先行パーティが「リッジの向こう側は見たらダメだよ!」と言っていたのでF先生共々、忠実に守った。
城塞ハング
右側チムニーに入り込まないのが正解らしいけど、後ろに振られる恐怖に耐えきれずチムニーに突き進み見事にハマってしまう。結果全く登れず残置とお助けヌンチャク、最後はロープまで掴んだ。力のあるF先生がリードしてくれたから抜けられた。

▲城塞ハングをなりふり構わず抜けた後。
トップアウトすると雨が降り出し、ギリギリもってくれた天気に感謝した。山頂はガスで何も見えずヘッデン下山となり、小屋のビール自販機にも間に合わなかったけど、目標だったバットレスからの北岳初登頂が叶った。
冬山教室から初心者をここまで育てていただいたF先生には最大級の感謝を申し上げます。
ありがとうございました!