【山域・山名等】 | 後立山爺ヶ岳・東尾根〜八ヶ岳・赤岳ショルダー左 | ||||||||
【日時】 | 2010年03月19日(金)夜行〜03月22日(月) | ||||||||
【メンバー】 | 爺ヶ岳.CL井上(哲)・小泉・宇高・八十島・古関・佐藤・山下・津田・上坂 八ヶ岳.CL津田・山下・宇高・八十島 | ||||||||
【ルート】 |
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【詳細】 | 03/19(金)曇り後晴れ | ||||||||
春合宿当初の予定では、爺ヶ岳東尾根隊(L井上・小泉・宇高・八十島)、鹿島槍ヶ岳天狗尾根〜爺ヶ岳隊(L古関・佐藤)、
鹿島槍ヶ岳北壁主稜隊(L山下・上坂・津田)の三隊に分かれての登頂予定であったが天気予報が悪い。
日本海側に二つ玉の低気圧が迫っている。それに伴う前線が3/21(日)に本州を通過する予定。合宿ど真ん中である。
奥へ入ると身動き取れなくなる危険が高いため、鹿島槍ヶ岳二隊がすぐに撤退可能な爺ヶ岳東尾根隊へ合流し、
計9名の大編成での登頂へ変更する。この日は安曇野ガラス工芸館に集合し、仮眠。
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03/20(土)晴れ夜半から大雨 | |||||||||
安曇野ガラス工芸館を出発し、鹿島の集落から入山開始。ガレた急斜面を登り尾根へ出る。
一本取った後、JPめざし尾根を進むと1766mのJPへ出る。明日天気が悪化することを想定し、すぐに樹林帯へ撤退できる1700m付近に幕営することとする。
3幕設置し風除けに雪のブロックを積む。荷物をデポし爺ヶ岳をめざし出発。P3、P2、P1と詰めてゆく。
途中一箇所ナイフリッジを渡る場面では、雪稜に不慣れな新人八十島は、セルフの要領でビレイを取る。
先行2パーティーを抜き、白沢天狗尾根との合流地点であるP1への雪壁を上ると、稜線上には北西の風が吹き付けていた。
一本取った後、爺ヶ岳目指し出発。膝を痛めている山下さんはP1で待機。P1手前で足を痛めた佐藤さんはP1先で待機。残り7名で山頂を目指す。 山頂へ近づくにつれ北西の風が強くなり、突風に耐風姿勢を取りつつ前進。 新人八十島は風にあおられ体が宙に一瞬浮くので、井上さんにザックごと押さえ付けてもらう。 当人は習ったばかりの耐風姿勢の出番を、けっこう楽しんでいたのだが・・・。 山頂まで残り60m程まで詰めるも、強風突風(最大25mほど?)が強くなり、時間的にもリミットなのでここで敗退とする。 下降は新人八十島を上坂さんがスリングでコンテする。 この程度の強風では余裕の上坂さんは、一連の隊員の動きを写真や動画にバッチリ収める。 P1まで戻り、山下さん、佐藤さんと合流し幕営地まで下降する。東尾根へ降りると風は弱まる。 爺ヶ岳や鹿島槍ヶ岳の眺めを楽しみつつ稜線を思い思いに下山する。 東尾根にはP1手前からP3にかけて数張り天幕があった。幕営地へ戻り隊ごとにテントで食事就寝。 夜半に前線が近づき雨風が強くなる。午前2時に寒冷前線本体が雷を伴ってやって来る。 雷はあちこちに落ちていて、各自落雷に遭わないことを祈る。 明け方、雨は雪に変わる。風は相変わらず強い。
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03/21(日)吹雪のち時々雨 | |||||||||
前線は通過したが相変わらずの強風。降雪もある。古関さんのテントはフライがめくれあがり、テント自体も強風で移動していた。
各隊朝食を取り幕を撤収。強風のため撤収も一苦労。ただ、樹林帯へすぐに退避できる場所に幕営したおかげで撤退可能であった。
これより上の東尾根上に幕営していたほかのパーティーは今日一日テントでの停滞を余儀なくされたであろう。 その後全員無事に下山し、薬師の湯へ向かう。井上さんと小泉さんは本日で帰路へ付く。 天気の回復を待ちつつ、薬師の湯で停滞。夕方から八ヶ岳に移動し、夜は小淵沢道の駅で山下さんの山菜てんぷらを頂く。
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03/22(月)晴れ | |||||||||
本日は前線が抜けた後の快晴。気温も下がり、期待できるコンディションに皆テンションがあがる。
本日は三隊に分けての行動。L山下さん・津田さん・宇高さん・八十島は八ヶ岳・赤岳西壁ショルダージッリ左ルートへ。
先日痛めた足の調子が良くない佐藤さんは八ヶ岳・行者小屋往復。そして体調不良の小関さん・上坂さんは鹿の湯で停滞とする。
新人八十島にとっては、本日の赤岳西壁ショルダージッリ左ルートが登攀デビューとなる。 ここからは、赤岳西壁ショルダージッリ左ルート隊のレポートである。 美濃戸から行者小屋へ快調にアプローチし、小屋の前で装備を整える。 文三郎尾根をあえぎながら登り、赤岳西壁ショルダージッリ取り付きへトラバースし、そこでロープを出す。 八十島は基本的な掛け声のかけ方などを教わる。 パーティーは、リード山下さん・フォロー八十島と、つるべ登る津田さん・宇高さんの2パーティーに分かれる。 初登攀の八十島のため、津田さん・宇高さんパーティーが八十島の後に付き指示を出す。 1P目、2P目は表面が硬く氷化した雪面のルンゼを詰める。アイゼンが気持ちよく効く。 正面岩壁を右に巻く。八十島はロープワークに不慣れなため、ロープをキンクさせてしまう。 3P目からは岩壁(岩稜[リッジ]ですけど…)。左上方へ巻くように登ってゆき、その先の岩壁を直登する。 アイゼンのフロントポイントで岩壁に乗り込む事に初体験の八十島は、初め疑心暗鬼であったが、コツをつかむと不安が解ける。 4P目はリッジを渡る。 5P目再び岩壁を登る。一部こぶのような岩壁を巻くように進む。後ろから、津田さんと宇高さんが嬉しそうにニコニコしながら登ってくる。 5P目のビレイポイントは高度感のある岩壁上で、八十島はキンクするロープと、不安定な足場にテンパる。 6P目最後の岩壁を登り、後は緩い斜面の草付きとなる。八十島がかつて研究対象としていたイワウメが一面に広がる。 貴重な研究対象であったのだが、今は命の方が大事なので、イワウメの群落へザクザクバイルを打ち込ませてもらう。 7Pは再び氷化した雪面を登る。 8P目、最後のピッチは八十島が先に登る。最後は岩壁の間のアイスになったルンゼを詰めて、ショルダーリッジの頭へ出て、登攀終了。 風が強いので、ロープを解くとそのまま赤岳山頂を目指す。 赤岳山頂にて登攀完了の握手を交わし、赤岳頂上小屋の風下で一本取る。 途中一本も取らずに一気に登攀したため、皆腹ペコである。 下降は文三郎尾根を下る。行者小屋にて装備を解き、佐藤さんの待つ美濃戸口へ下山。 さらに鹿の湯で古関さん・上坂さんと合流し帰路へ付く。
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感 想 | |||||||||
私にとって今回の合宿は、前半の雪稜バリエーションと後半のミックス登攀共にデビュー戦であった。
前半は雪稜での基本的な歩き方やルートファインディングを勉強すると共に、冬山で低気圧の前線通過という気候の変動も経験。
悪条件の中での、先輩達の無駄の無い動きが印象的であった。
後半は人生初の登攀でロープワークに手こずるも、天気に恵まれ、抜群のロケーションの中の登攀に充実感を覚えた。
ロープワークを初め登攀用具を使いこなせるようさらに練習を積みたい。 今回は天候の悪化のためスケジュールが大幅に変更したが、結果的には2つのデビューを果たせて満足であった。 (記録:八十島)
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