山行報告

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【山域・山名等】

八ヶ岳・広河原沢右俣〜阿弥陀岳南稜〜赤岳主稜〜広河原沢中央稜下降

【日時】

2004年01月09日(金)夜行〜01月12日(月)

【メンバー】

CL山下眞一・櫛舎真吾・橋本真和

【ルート】
09日(金)あざみ野駅前(23:00)-(2:00)道の駅(信州蔦木宿)
10日(土)(5:00起床)道の駅(信州蔦木宿)(6:00)-船山十字路-ゲート先(7:30)- 広河原沢二俣(右俣)-(10:00)クリスマスルンゼ-(15:00)P2-P3(手前)-(15:30)P2下(2550m 付近コル)テント泊(20:00就寝)
11日(日)(4:00起床)P2下コル-(7:40)P3取付-阿弥陀山頂(デポ)-赤岳西壁主稜 -赤岳山頂-阿弥陀山頂(テント泊)
12日(月)(5:30起床)阿弥陀山頂-阿弥陀中央稜-広河原沢合流点(デポ)-クリス マスルンゼ-武藤返しの滝(16:30)-船山十字路(ゲート上)(17:30)-(23:00)あざみ野
【詳細】 01/09(金)
   仕事を終え電車に駆け込む。電車の中は熱いくらいであるが外に出るころには汗が冷え寒くなる。 山下さんの車に乗り込み、仕事のことや山のことを話しながら中央道を走る。道の駅信州蔦木宿で車中泊。 外はかなり冷え込みアスファルトにはすでに霜が降りていた。

  01/10(土)
   船山十字路を抜けゲート先に車を停めることが出来た。荷造りをして登高の準備をする。歩き始め 1時間程はつらいものである。身体からの熱気でサングラスが曇り大粒の汗が流れる。時折、木々の隙 間から堂々とした阿弥陀の頂きが見える。二俣を過ぎて広河原沢にもいくつかのトレースがある。 途中、ガチャを付ける。谷の奥、右側にクリスマスルンゼが現れてきた。取り付いている人はまだいない。 クリスマスルンゼを眺め休憩する。大きく2段に分かれていて、下段は傾斜が緩いが上段は垂直になっている。
 クリスマスルンゼから先はトレースはなくラッセルの連続となった。30歩ごとに10息を入れる くらいのペースである。寒さが増し次第に小粒の雪が降り始めてきた。途中、小さな氷瀑やミックス を登高する。乗り越えて振り返るごとに高度がさらに上がる。順番にトップを交代しながら右へ右へ と前進する。3人のトレースが一筋の線となって斜面に描かれていく。山下さんがトップとなり樹林帯 を抜けついに南稜P2に出た。稜線に出た途端、北西からの激しい風雪が吹き付けてくる(気温-15℃)。 視界があまりないためにP3が幻想的に見える。橋本さんのペースが上がらず間が離れてしまう。 そのため、山下さんが単独でP3付近の様子を偵察する。P3直下には1パーティがいるとのこと。 風雪が強く橋本さんの調子が芳しくない状況ではこのままさらに登高することが厳しいため、 P3の登攀は明日にしてテン場を求め南稜を下ることになった。
 2550m付近の樹林帯には3パーティのテントがすでに張ってあり我々もそこにテントを張った。 岩稜とは違い樹林帯では風がほとんどなく快適であった。テントに入り温かいメシを喰うのは至福 のひとときである。時折、テントに降りかかる雪の粉の音を聞きながら眠りについた。(記録:櫛舎)

  01/11(日)
   どのパーティより早くP3に取り付くため暗いうちに起床する。朝食を食べテントを出るころP3は 朝陽に染まり始めた。昨日、下ったところを登り返す。雪の吹き溜まりがあり足が潜り息が切れる。 樹林帯を抜け岩稜に到達する。昨日よりも風は弱まっていた。昨日、P3直下にいたパーティであろうか、 強風で飛ばされるのを防ぐために四方をロープで囲ったテントが1張りあった。P3には登攀しているパ ーティはまだいない。1ピッチ目山下さんトップで登攀する。続いて橋本さん、櫛舎の順番である。 フィックスロープが残置で張ってあり、1ピッチ目以外は雪と氷の緩斜面となった。前回、天狗尾根 からP3を見たときには黒く切り立っているのが印象的だったが、思ったよりあっけなくP3を抜け出た。 真正面に阿弥陀の頂上が大きく見える。蒼空に雪と岩のコンストラストが爽快である。
 阿弥陀山頂には中岳からの縦走者が何人かいて記念撮影などしてにぎやかである。地蔵は半分 硬雪に埋まって寒そうにしている。頂上で一息入れ赤岳西壁主稜登攀の準備に取り掛かる。ロープ2本 と行動食、テレモスをザックに入れその他の物はデポして中岳側へ飛ぶように下る。途中、阿弥陀 に登る人下る人で渋滞していた。北からの風が強く氷の粒が舞い上がり全身に痛いほど突き当たる。
 主稜は数多くのパーティが取り付いていた。山下さん、橋本さん、櫛舎の順で登攀する。取り付き 地点のチョックストーンでは落石が多く息を飲み岩をくぐった。1ピッチ目で2パーティを追い越し 緩斜面を登高する。核心部では5パーティ程が渋滞していて、1〜2時間も待っているとのこと。 そのためトップの山下さんは核心部下左側から取り付く。バリエーションルートのバリエーションである。 右クラックから左リッジに移るのであるが、見た目以上にホールドは少なくさらにリッジ上壁は ハング気味になっている。ピッケルをリッジのわずかな岩の隙間に刺し込み左手で微妙なホールド でバランスをとりエィヤッで乗り越えた。その後はほとんど雪の急斜面を一般ルートのように赤 岳頂上まで登高した。赤岳頂上で互いに握手を交わし、360°の景色を眺望しながら空腹を満たした。
 テント等を阿弥陀頂上にデポしたため、朝、勢いよく下って来たところを今度は登り返さなけれ ばならない。阿弥陀方面を見ると、中岳、阿弥陀がなんとも大きく見えてくる。行者小屋にはテント がお花畑のように色鮮やかに見える。赤岳を背に3人それぞれのペースで登高する。阿弥陀頂上 に着いたときにはすでに赤岳が夕焼け色に染まっていた。
 スコップで整地し雪を積み上げ小さな防風壁をつくりテントを設営した。テントに入れば我が家 に戻ってきたようにほっとする。1時間程かけて水を作り夕飯とする。ホットココアがやけに美味い。 外に出ると諏訪の町の明かりがゆらゆら瞬いていた。夜半には風がすっかり弱くなり、時折、 はためくテントの音を聞きながらいつしか眠りについていた。(記録:櫛舎)

  01/12(月)
   足が寒くて目がさめた。さすがに頂上は寒いが、昨日の強い風がやんだので今日はよく眠れた。 8:00頃撤収完了にて出発、中央稜にはトレースもついておりガンガン下ることができる。天気と景色は最高、 自分にとっては地形の勉強にもアイゼン歩行の練習にはもってこいのルート。2時間ほどで中央稜取り付き まで下降。途中クリスマスルンゼに人が見え、古関さん、鎌田さん達か?クリスマスルンゼに行くと順番待ち パーティーがいてさらに先行パーティーが2組4人いて2時間待ちだそうだ。彼らは滝の下でポストクリス マスルンゼを登ったり、氷の彫刻を作って遊んでいる。
 古関さん、鎌田さんと合流。クリスマスルンゼは間もなくトップロープが張られ大渋滞。ポストクリスマス は日があたって上部はぼろぼろとの事で、武藤返しの滝に変更。
 武藤返しの滝もトップロープが張られていたので、下の小滝で2〜3本トップロープで櫛舎さんと登る。 足の使い方がまだ慣れず難しい。古関さんは新品のアイススクリューの具合をうれしそうに試している。
 その後、上部の武藤返しの滝があいたのでそちらで練習。櫛舎さんと笑っているとカチカチの右の部分 を登る古関さんにうるさいとお叱りを受けてしまう。中央部に先生がトップロープを張り、いざ開始。 8mくらいだろうか。私にはだいぶバーチカルな感じでしかも氷が硬い。先日初めてのアイスを体験した 岩間ルンゼとは大分違う。
 最初に登った櫛舎さんも苦労して、落ちながら登っている。私も落ちながら一本登る。 もうこれで終わりにしようと思っていたのだが櫛舎さんが落ちずにもう1本行ったので、 私も落ちない1本をやろうと決心、何とか落ちずに登れた。鎌田さんが右、古関さんが左を登る。 続いて先生、私が義弟から借りて、使いこなせていないバイパーを別物のように使いこなしてカンテを登る。
 14時で切り上げる予定だったがあっというまに時間がたち、16時前。阿弥陀岳に再会を約束し、 車まで急いで戻り、出発。おまちかねの温泉入浴の後食事。とんかつが食べたいとずっと思っていたが 生姜焼きに変更(先生にそういうところがクライミングに出ているといわれながらも)。
 小淵沢から渋滞もなく一挙にあざみ野まで10時過ぎあざみ野着。(記録:橋本)

   

('04-02/03)