山行報告(谷川集中登山)


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【山域・山名等】

谷川岳 [一ノ倉沢・南陵/中央カンテ] [幽の沢・V字右/中央ルンゼ/滝沢大滝] [赤谷川本谷]

【日時】

2005年09月16日(金)夜行〜09月19日(月)

【メンバー】

CL山下眞一・古関正雄・太田 拓・鎌田 実・谷口浩平・鈴木真理子・石綿健一
  井上徹三・和田善治・安部浩章・岩橋 賦・近藤達也・津田 暢・井上哲也

【ルート】
16日(金)横浜−一ノ倉出合
17日(土)一ノ倉沢・南陵(古関・太田・石綿・岩橋・井上(哲))/中央カンテ(山下・鈴木・近藤・津田)
赤谷川本谷(井上(徹)・和田・安部)
18日(日)幽の沢・V字右(鎌田・谷口・太田・岩橋)/中央ルンゼ(山下・近藤・津田)
                             /滝沢大滝(古関・鈴木・石綿・井上(哲))
赤谷川本谷(井上(徹)・和田・安部)
19日(月)一ノ倉出合−横浜
【詳細】 09/16(金)
   22:00 あざみ野駅に3台の車が集合した。赤谷川本谷に入る井上(徹)さんの車は車回送係の井上(哲)の運転に て東神奈川を出発している。246を通り環八へ。ここで太田車が環八の車線変更をし損ないそのまま直進。 携帯の連絡で環七から来ることとする。(この事は太田車の幸いだった) 甲州街道を横切る辺りから環八は 工事渋滞。バカヤロー!連休前夜に工事規制なんかするんじゃない!と怒ってみてももう遅い。関越に入るま で二時間以上かかってしまった。
 夜半過ぎに高坂SAにて全員集結したものの、眠気には打ち勝てず上里SAや赤城高原SAなどバラバラに仮眠。 一ノ倉出合で待つ井上(哲)と合流したのは夜明け前の4時頃だった。
  
   
  09/17(土) 晴れ
 
 【烏帽子沢奥壁南稜】メンバー:CL古関・石綿・井上(哲)   記録:井上(哲)

 AM6:00、一ノ倉沢出合を出発。前回は、雨のため途中で敗退し、引き返したので今回が初の一ノ倉になりました。 同じ南稜の太田さんパーティーと中央カンテの山下さんパーティーと一緒にアプローチです。総勢、9人の大所帯です。 前回は、雪渓がありましたが今回は沢沿いに奥壁を目指しました。ヒョングリの滝へのクライムダウン後、滑りやす くなってきたのでフラットソールに履き替えました。
 AM7:06、テールリッジ取り付き。事前にフラットソールに履き替えていたため特に問題なく通過しました。ただ、 ピーカンのため暑いこと暑いこと全身から汗が吹き出てきます。振り返ると出合まで一望でき谷川に来た実感が湧 いてきました。
 AM7:35、中央稜基部。ここで一旦休憩し、バンドをトラバースして南稜テラスを目指しました。途中の中央カン テの取り付きでは、山下さんパーティーが準備をしていました。コールを交わし先に進みます。”ヨカッター!!”

 AM8:00、南稜テラス到着。♪♪行こか・・・戻ろか・・・南稜テラス、♪♪です。クライミングを初めて一番来て みたかった場所です。その場所に自分が立って、感無量でした。
 太田さんパーティーは既に準備を終え、登り始めるところでした。1P目を太田さんがリードでスタートしていきました。 古関さんとルートの確認をしながらチムニー手前でピッチを切りました。私は、チムニーの上でピッチを切るもんだ と思っていましたが、古関さんに質問するとザイルの流れが悪くなるので手前で切ったんだと回答が返ってきました。 なるほど・・・と思いました。中央カンテを見ると、近藤・津田パーティーと山下・鈴木パーティーが1,2Pを登っていました。 「ヨカッター!!」のコールが谷川の奥壁に響き渡ります。

 AM8:35、1P目。井上リードでスタートしました。今日は、全ピッチリードです。正面の岩を右側から回り込み、 一旦左上して行きました。古関さんからランニングは長めに取れよ!と指示を受けていましたのでここで長めに ランニングを取りました。しかし、支点が少なくちょっと緊張気味です。今度は、右上してチムニーの入り口まで行きました。 登り出しがいやらしく、力で体を持ち上げバックステップでチムニーの中へ入り、抜けたところがビレイ点でした。 ここからは、左からテールリッジ・烏帽子スラブ・南稜テラス・本谷がよく見渡せました。

 2P目、井上リード。少し急なフェイスでしたが、岩が硬くホールドも豊富にあり快適に登りました。

 3P目、草付。ここは、3人でザイルをつけたまま移動しました。踏み後もしっかりしていました。

 4P目、井上リード。頭上のハングを目指して登りました。2P目と同様で急なフェイスですが岩が硬くホールドも豊富にありました。 ハングを左から巻いてビレイ点です。ここは、足元に割れた岩が散乱していて無神経に動くと落石が起こりそうな場所でした。 右手には滝沢スラブやマッターホルン状岩峰が見え、登攀しているパーティーも見えました。上からは太田さんが岩橋さんを ビレイしながら(6P目)手を振っていました。石渡さん、古関さんが続いて上がってきましたが3人が安全に立てるほどのスペ ースが無かったため古関さんがそのまま5〜6mほど登りそこでピッチを切りました。(5P目)

 6P目、井上リード。大きな岩を越えてリッジをダイレクトに直上しました。高度感はありますが快適なピッチです。 馬ノ背リッジの手前でピッチを切る予定でしたが勢い余って先に進み、下から「あと5m」のコールがきました。目の前には、 ビレイ点らしき残置スリングがかかっていましたが前を見ると奥のクラックを上がればテラスがあるのが分かりました。 5mでピッタリと判断してザイルを伸ばし、判断どおり50m丁度でビレイ点に到着しました。

 7P目、井上リード。南稜の核心部で最終ピッチです。出だしは、意外に簡単で傾斜がきつくなっていくうちに難しくなり 垂壁に感じられました。最後の一手が核心でした。テラスに上がると太田さんが懸垂下降の準備をしていました。

 12:05、石渡さんに続いて古関さんが上がり終了です。ここからは、烏帽子岩が大きく見え左側には懸垂岩も見えました。 休憩もつかの間、下降準備です。
 12:20、古関さん、石渡さん、井上の順で下降です。2ピッチ下降で4P目のビレイ点に届き、1ピッチ下降で草付を抜け2P 目のビレイ点、1ピッチ下降で1P目のチムニー手前、1ピッチ下降で烏帽子スラブまで降りました。(PM2:18)ザイルをしま いバンドをトラバースして中央稜基部まで行き、休憩です。(PM2:45)
 PM3:05、下山。PM4:28、一ノ倉沢出合到着。


【感想】
 一度は登りたかった南稜を登攀できたことは、大変嬉しかったです。思い出の一本になりました。 谷川は、剣や穂高とはまた違いクライマーだけの世界だなと感じ、今後も色々なルートを登攀したいと思いました。 しかし、下山中に気の緩みから何でもない場所で3mほど滑ってしまいました。怪我は、腕を擦りむいた程度でしたがこれが 危険個所なら・・・と思うと反省します。
 この谷川の経験を次回に繋げたいと思います。

   
  09/18(日) 晴れのち曇り
 
 【幽ノ沢V字状岩壁右ルート】メンバー:CL太田・岩橋     記録:岩橋

一の倉出合(6:00) → 幽ノ沢出合(6:30) → V字状岩壁取り付き(8:30) → 石楠花尾根終了点(11:00)
堅炭尾根(11:45) → 芝倉沢出合(13:30) → 一の倉出合(14:30)

 4:00起床。朝食、支度の後、6:00頃 一の倉出合を出発する。 幽ノ沢出会いで水を補給していた鎌田さん、谷口さんパーティに追いつき追い越す。幽ノ沢出合から遡上を開始。 アプローチとはいえ運動靴での沢の遡上は私にとっては手ごたえ十分であり、緊張しながらのクライミングであった。 カールボーデンに近づくに従って水量が少なくなっていきU級程度のスラブ岩稜帯を右俣リンネに向かってをつめていく。 やや傾斜がきつくなったリッジ状の前でレッジがあり、そこでアイザイレンをし登攀を開始した。

 1P目、2P目はやさしいU〜V級程度の登攀だが1Pで1つ程度しかプロテクションを取れないため安全を期して太田さんが 全てリードした。

 3P目はルート図の取り付き点にあたるトラバース開始点である。ルートを観察するとこのピッチはプロテクションが 多そうだったので、私がリードした。途中濡れている部分もあったがスタンスが安定しており問題なかったが トラバースの抜け口からリッジをのっこす所でRootFindingを少々ミスをし太田さんから指摘をされる。

 4P目、5P目V級程度のフェース右上する。太田さんがリードする。岩が多少脆くなってきたので落石に気を使う。

 6P目 岩橋リードでハング下のレッジまでいく。V級程度のフェースで快適に登る。

 7P目 岩橋リード 6P目まで右上してきたが、ここからルンゼを左上しリッジをこえ、逆層フェースを登る。 V字状岩壁右ルートの核心で W+をつけるルート図もあったがスタンスが豊富で安定しており、 問題なくフリーで快適に登れた。逆層フェースを越えた所でレッジがありピッチをきる。

 8P目 チムニー、草付きのルンゼをこえる。太田さんリード 特に難しいところは無い。

 9P目 草付きのルンゼ、潅木帯を登る。岩橋リード。初めての草付きで少々まごつく。特にルンゼから潅木帯に 抜けるところは、RootFindingに手こずる。草で見えない足元の泥がくずれ少々悪かった。潅木帯を抜けたところ 草付フェース前のレッジでピッチを切った。

 10P目 U級程度の潅木帯を登る。太田さんリードで石楠花尾根に抜け、終了点に着く。 ここから石楠花尾根を100mほど登ったところで堅炭尾根に飛び出し登山道に出る。


【感想】
 この日は気温が高く、時間が昼前だったので石楠花尾根の草付帯は非常に暑かった。 それに加えて、石楠花尾根をルートの終了点だと思いこんでいたので少々ペース配分がくるい 堅炭尾根までの道のりが長く感じた。草付の処理とルートファインディングは今後の課題であろう。
 堅炭尾根で20分ほど休憩し、尾根を下降し芝倉沢を降りた。途中少々悪いトラバースがあり一度足を滑らした。 最後まで集中力を切らさないように今後注意していきたい。
  
   
  09/19(月) 曇り後雨
   06:00 起床 烏帽子岩がようやく見えるくらいの雲がかかっている。今日は冬の偵察のため東尾根に入る予定だったが こんな天気ではシンセンのコルから先、どんな所を歩いたのか分かりはしない。朝食をとった後、撤収ということになった。
 湯テルメで温泉に入り帰途に着く。天気が悪くなるのは前から言われていたので3連休最終日の割には交通量の少ない 関越道を走り、これから北アルプス〜後立山連峰を単独で日本海まで縦走に出かける近藤を高崎駅まで送った。
  
   

('05-10/20)