山行報告


【山域・山名等】

谷川岳 一ノ倉沢 衝立岩 中央稜〜北稜下降

【日時】

2002年06月08日(土)夜行〜06月09日(日)

【メンバー】

CL鎌田 実・鈴木真理子(記録)

【ルート】
08日(土)横浜(21:00)〜(25:30)一ノ倉沢出合
09日(日) 一ノ倉沢出合(05:30)〜(06:30)中央稜取り付き(07:20)〜衝立岩の頭(10:45)〜 北稜下降開始(11:00)〜コップスラブ上部(13:00)〜一の倉沢出会い(15:45)〜横浜
【詳細】 06/08(土)
   夜9:30頃山下宅駐車場を出発。同行メンバーは山下・鎌田・長田・鈴木の4人。 関越道路の赤城を過ぎた辺りから雷が鳴り、雨もぽつぽつ降り出した。一の倉沢出会いの駐車場には 1時くらいに到着。テントを張って1:30頃寝る。雨も風も次第に強くなり、明け方4時半くらいまで かなりの雨が降った。

  06/09(日)
   4時半起床。雨はほぼ上がっているが、どんよりした空で風はかなり強そう。 天気予報では2日もにわか雨だが・・・。とりあえず5:30に出発。中高年カメラマンがたくさんいるが、 取り付きに向かうパーティはほとんどいない。結局我々4人が一番乗り。山下・長田組は南稜を登る のでそのまま奥へ向かう。中央稜は私はその昔客として登らせてもらった事があるが、もちろんよく 覚えていないし、鎌田さんも初めて。最近ルートが変わったという話もあり、とりあえず下から眺める。
 さて、と思ったが2人ともお手洗いタイムになってしまう。下から続々と人が上がってくるので良い 場所が無く、結局人がとぎれるまで待ったために取り付き時間がかなり遅くなってしまう。
 南稜の方を見るともう山下・長田組は壁の途中だ。私たちの後に上がってきたパーティの方が先に 支度ができてしまったので先を譲ろうかとも思ったけど、結局彼らは他のパーティとロープ交換などを していたので、先に上がらせてもらう。7:20登攀開始。

1P目(40m W)
 「凹角から逆層のフェースを乗越す」鎌田さんのリード。岩もほぼ乾いていて快調。
2P目(40m W+〜X?)
 鈴木リード。「日本の岩場」によると2P目『泥のルンゼU』〜3P目 『カンテを右に回りこみ凹角−フェースV、A0』だが、2P目の途中から烏帽子沢奥壁側のフェースに まわりこみ、そのまま大きく巻いて3P目の終了点の5m〜10mくらい下まで切らずに登る。トポのルート とは違うことには気づいていたが、最近2P目がかわったという話だし、支点も問題なく続いているので、 泥のついた草付よりは乾いたフェースの方が快適そうだと思い、フェースに回り込んだ。まわりこむところ でちょっと傾斜があって、逆層で岩が細かく厳しい感じがしたが、岩が乾いていたおかげで無事越える。

 
  3P目(25m V?)
 鎌田リード。途中から従来の3P目に出る。ここが核心の4P目になるかと思ったが、核心の手前で切る。
4P目(25m W、A0またはX)
 鈴木リード。チムニーではなくフェース側を登る。
5P目〜衝立の頭
 ここからはVくらいの階段状。途中でロープを しまってもよかったのだが、広い場所もあまりないので衝立の頭まで ロープをつけたままで登る。登攀終了10:45。

 2P目でルートを考えたりしたのでちょっと時間がかかってしまった ような気がするが、従来のルートよりグレードが高めであった事を 考えるとこんなものか。登攀自体は特に問題なく、草付や泥を避けて フェースを登ったせいで思っていたより快適だった。私たちの後には 2パーティのみ。昨晩天気が悪かったせいで少ないのだろう。 こんなに天気が回復して岩が乾くとはまったく予想できなかった。 下のパーティを待って同ルート下降すればあっという間に降りられた けれど、北稜下降のルートを覚えた方がいいかな、などと話をしながら 下降点を探す。

北稜下降
 11:00下降開始。先を別の4人パーティに譲ったために かなりの待ちが入る。譲ったことをちょっと後悔した。懸垂の1P目でロープを2本合わせてきちんとた ぐらずに流したために下降の途中で1本がひっかかり、時間がかかってしまう。その後は慎重にロープを 下に落としたので引っかかることもなく降りられた。
 略奪点手前のコップスラブに13:00過ぎに到着。ここまでは間違えずに来たが、その後がよくわからない 。2人の持つルート図では衝立前沢も前々沢も載っていない・・・。少しだけ踏み跡があったのでたどって 尾根を少し下る。踏み跡がなくなる。雪渓をわたったような跡もあるが、少なくとも先行の4人パーティ のものには見えず、もう少し古いもののようだ。雪渓は急で硬くて運動靴でバイル無しではちょっと不安。 下のほうで口も開いてるし・・・。一瞬コップスラブを降りた方が楽そうに見えたが、支点も無く落ちたら そのままシュルンドに向かってさようならだ。きつい藪を降りる。藪から藪へと雪渓をわたらずに隣の尾根 に渡れたので渡る。やせた尾根を越えた先の沢も急で薄そうな雪渓。あきらめてまた延々と藪を下る。 足場が悪くて勾配もあるので手を離すとそのまま落ちてしまいそう。いいかげん腕が疲れてくる。 鎌田さんはさすがに沢や山経験の長いだけあってこういう藪こぎは得意そう。ちょっと休んでいるとすぐに 見えなくなってしまう。鎌田さんの『野生の勘』(?)で絶壁の上に出ないようにルートを選んでどんどん 降りていく。ようやく雪渓がなくて水がちょろちょろと流れる歩けそうな沢に降りられる。ここが衝立 前々沢らしいということは後になってからわかる。足が水に浸るが、いいかげん藪にうんざりしていたの で沢沿いを下る。水の中をジャブジャブと歩く。藪に比べたら快適!しばらく下ると隣の沢との合流点が 見える。テールリッジも見えてくる。ようやくほっとできる。最後はつるっとした濡れて苔むしたスラブ で、懸垂の支点があったので15mほどの懸垂で降りる。下の雪渓に出るところでブロックを乗り越えな ければならない。ほんの一歩だけどこのブロックが崩れたら雪渓の下に滑り込んでしまう、嫌な感じ。 そーっと足を置いて乗り越え、無事雪渓に。ここでようやく握手をする。2人とも手のひらが真っ黒。 後はぺたぺたと雪渓を早足で降りていく。
 駐車場の手前に山下先生が立っている。時間がかかったのでさすがに心配になったのだろうか。15:45着。 悩んで登り返したりした分かなり時間がかかってしまった。だが、鎌田さんと2人で、きっと雪渓の状態を考 ると90点くらいのルートを選んだに違いないと自画自賛。頭も体も十分に使って充実した(?)下降となった。

 その後はいつも通り谷川温泉湯テルメで温泉につかり、ドライブインのような食堂でご飯を食べて帰路へ。 サッカーWCの日本戦があるためか渋滞にはほとんどひっかからず順調に帰宅。
 思いのほか天気が回復して、久しぶりに青空の谷川を満喫できた。

   

('02-06/16)