山行報告


【山域・山名等】

黒部川支流・黒薙川・北又谷
【日時】

2000年08月11日(金)夜行〜15日(火)

【メンバー】

CL井上徹三、安部浩章、白根武

【ルート】11日(金)上野駅23:54急行 能登→
 12日(土)泊駅05:20−06:10越道峠06:30−下降点07:40−09:20本谷−10:40魚止めの滝−13:10恵振谷出会
 13日(日)恵振谷出会06:30−10:30白金滝11:45発−3段の滝12:25−黒岩谷出会16:00
 14日(月)黒岩谷出会09:30−黒岩谷1100メーター地点
 15日(火)幕営地点06:00−黒岩平08:00−黒岩山09:30−小滝林道12:00−小滝駅16:00−松本駅20:00


【詳細】08/11(金)
   22時に上野駅で待ち合わせ、ホームに着くとすでにかなり長い列ができている。帰省客と山屋で大変な混雑である。 井上さん達を探そうときょろきょろしていると見送りに来てくれた和田さんがすでに順番を採ってくれている。 見送りとは言いつつ誰が見てもいでたちは今から山に行きますと言う格好をしている。毎年夏の沢合宿を楽しみに している和田さんが今年は仕事でどうしても抜けられないらしい。まして今年は大物が釣れるので有名な天下の北 又沢である。せめて上野までの山行き気分を味わっているのか。列車は完全にできあがった和田さんを残し定刻ど おりホームを後にする。

  
 08/12(土)
   夜行列車は通路はもちろんトイレの前までぎっしりで、やっとの思いで泊の駅に降り立つ。予約してあったタクシー に乗り小川温泉経由で越道峠まで入る。小川温泉より先はタクシーのみ林道に入れるとのこと。峠には立派な石碑があリ、 いっぷく後石碑の後ろより尾根に取り付く。
 1時間強で下降点へ。途中1回の懸垂で本谷へ降りる。本谷はさすがにスケールが大きい。妙に虫も少ない。 天気もだんだん晴れてきてとにかくきれいだ。ひざくらいの徒渉を繰り返し魚止めの滝まで竿を出しながら遡行する。 魚はまったくあたりがない。魚止めの滝は埋まっているとは言うものの3,4メーターほどあり大きな釜を構える。 左岸を慎重にへつる。落ち口への最後の一歩が悪い。落ちればまちがいなく流心に引っ張り込まれるだろう。 我々がロープを使ってへつっていると単独の人が追いついてきた。京都の松田さんである。 このあと黒岩谷出会いまで一緒に遡行?(松田さんはほとんど高巻き)することになる。
 魚止めの滝から40分ほどで大釜淵に到着。ガイドブックのとおり、まず白根君が右岸を泳いで小滝のリッジ状の岩 に取り付こうとする。が、あと30センチと言うところで流れにもって行かれ釜の中へ。なかなか浮いて来ない、 あせって井上さんと2人でロープをひく。10秒ほどして浮いては来るもののかなり水を飲んでいる。続いて井上さんが行く。 岩に手が届くもののふんばれずもって行かれる。あっという間に泡の中に。白根君と2人でロープをひく。穏やかに見えても とんでもない流れが淵の中に流れ込んでいる。あきらめて右岸を高巻く。45メートル一杯の懸垂で川床へ降りる。 すぐ恵振谷出会いに着き幕を張る。
 先程まで後ろにいた松田さんは高巻いてすでにツエルトを張っている。松田さんに話 を聞くとこれがとんでもない人で北又谷はこれで7回目。3年に2回のペースで通っているとのこと。 それもほとんどが単独で、ほとんど高巻いているのだそうだ。高巻きのルートは熟知しているようだ。 世の中には凄い人がいるものだ。
 又右衛門滝でさんざん釣りをするがぜんぜんかからない。井上さんがやっとこさ一匹上げ て骨酒にする。夕食はカレー。心地良い酔いだ。

  
 08/13(日)
   5時起床。朝まず目を狙うもまったくあたりがない。6時半に出発。又右衛門滝を高巻く。われわれがさっそく迷っていると 松田さんがこっちだと手招きする。30メーターほどの懸垂で川床へ。徒渉へつりの連続で白金谷出会いへ。松田さんはここで幕営。 我々は昼食。そうめんをたらふく食べて出発。
 長持ち淵は膝までで難なく通過。3段の滝はガイドブックのとおりかなり手前から 左岸を高巻くも上部までルンゼが入っており途中で川床まで20メーターの懸垂。少し手前過ぎたところから高巻いたようだ。 あとで松田さんに聞いたところ、ここは右岸を高巻いたほうが楽だということであった。ほっとするまもなく今度は雪渓が現れる。 1つ目は下をくぐるが、2つ目はくの字方になっていて上を越すしかないと判断。右岸をバイルを使って這い上がる。 井上さん先頭で間を空けてそろそろ歩く。100メーター程でうまい具合にノーザイルで川床へ。5分も行かないうちに黒岩谷出会 につく。
 出会いでは釣り屋さんがすでにベースを張っている。僕は釣りをあきらめて焚き火の準備。白根君と井上さんは釣りに出か ける。白根君が2匹、井上さんが1匹上げてくる。魚影は濃いものの釣り上げるのは難しいようだ。夕食は苦労して上げた油でテン プラを揚げ、岩魚丼。うまかった。

  
 08/14(月)
   1日ゆっくり釣りをすることにする。天気はうす曇リ。急に崩れることもない模様。
 白根,安部で猿が滝まで上がる。白根君は2、3匹あげる。僕は滝壷でかなりの大物を引っ掛けるも逃げられてしまう。 8時ごろベースにもどリ朝食後撤収。釣りをしながら黒岩谷を遡行。ここで僕も小さいながら一匹ゲット。これで一昨年 の白神以来言われ続けたノーヒットの記録もやっと終わりとなる。そろそろ魚止めかと思ったころ白根君にあたりがあり なんと今回最高の34センチオーバーを釣り上げる。さすがに大きい。みんなでさも自分が釣り上げたような顔をして写真を撮る。
 ぱらぱら雨が降ってきたので14時過ぎ右岸に幕営跡を見つけ幕を張る。夕立のとおり過ぎるのを待って焚き火。 いやと言うほど岩魚を食す。

  
 08/15(火)
   4時半に起きて軽く朝食をとり、6時に出発する。白根君が先頭で1時間半ほどで迷うことなく黒岩平直下の草原に出る。 最後まで豊富な水量をたたえる。源頭は雪渓に被われておりその上は黒岩平の湿地帯である。のどかな川の流れはここが山頂付近 とは思えない風景を作り出している。ぬかるみの縦走路を歩き黒岩山山頂へ。無事遡行できたことを山の神に感謝して御神酒をささ げる。
 小滝林道までの下山道はやたらまむしが多い。井上さんが呼ぶので入ってみるとすぐ近くをまむしの親子がこちらを向いている。 お昼ごろ林道に出る。後はひたすら林道を歩き明星山の麓の翡翠の公園に4時過ぎに到着、3人で展望台から岸壁を眺める。
 小滝の駅はさらにそこから1時間半ほどかかった。駅に着くころには足の裏は豆だらけ。その日の内に帰れる電車はなく、 松本で一杯やった後夜行のアルプスで翌朝7時過ぎに横浜に着く。

  
 総括
   北又谷は巻き道のルートファインディングの難しさに尽きる。水量は平年並みと言うことであったが、水量が多 いとまったく歯が立たないであろう。ロープは8ミリ45メータを2本持っていったが正解であった。しっかりとした リーダーのもと入る事を許される沢である。

('00-11/16)